○尾花沢市清らかな環境を保全する条例

平成14年3月22日

条例第17号

前文

尾花沢市における市民の生活は、豊かな緑、水、温泉等の自然資源によって支えられている。また、この地方特有の長い冬を象徴する雪は、独自の文化や風土を築き上げてきた。

今後は、自然及び文化がもたらす恩恵を認識するとともに、これらを生活環境の向上や社会経済的発展に活かしていく必要がある。そして、この恩恵が永続的に享受できるよう、自然資源を持続的に活用していくためには、市民や事業者が生活様式や産業活動を見直し、環境への負荷をできる限り少なくしなければならない。このように本市では、人、動植物も含めた全ての生命が共生する健全で快適な環境づくりを目指すものとする。

以上のことを踏まえ、尾花沢市の望ましい環境像を「豊かな四季と自然環境がもたらす恩恵のもとで暮らし、全ての生命を健やかに育む雪のふるさと 尾花沢」と設定し、この環境像を実現していくため、この条例を制定する。

目次

第1章 総則(第1条~第7条)

第2章 環境の保全に関する基本指針等(第8条・第9条)

第3章 環境の保全に関する施策等(第10条~第22条)

第4章 環境審議会(第23条・第24条)

第5章 補則(第25条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全について基本理念を定め、市、事業者、市民、民間団体の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策(以下「環境施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、環境施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民の現在及び将来にわたり健康で安全かつ快適な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 良好な環境 土地利用や人口等の社会環境及び動植物等の自然環境との調和によって生ずる快適性、利便性、安全性等に優れた質の高い環境をいう。

(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるもの又はおそれのあるものをいう。

(3) 地球環境保全 人の活動による地球の温暖化、オゾン層破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で安全かつ快適な生活の確保に寄与するものをいう。

(4) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境施策は、次の各号に掲げる基本理念に基づいて行わなければならない。

(1) 市民が健康で安全かつ快適な生活を営むために環境と共生し、自然との調和のとれた豊かな環境を確保するとともに、これを将来にわたって継承していくこと。

(2) 環境に関する資源が有限であることを認識し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な循環型社会を構築すること。

(3) 環境への負荷をできる限り低減するため、市、事業者、市民、民間団体がそれぞれの責務に応じた公平な役割分担と連携のもとに自主的かつ積極的に取り組むこと。

(4) 地球環境保全は、地域の環境が深く関わっていることを考慮し、すべての者がそれぞれの日常生活及び事業活動において、地球環境保全活動を積極的に推進すること。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、総合的な環境施策を策定し実施するものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、物の製造、加工又は販売等(以下「事業活動」という。)を行うものとする。

(1) 事業活動によって生ずるばい煙、汚水、廃棄物その他物質による公害を防止し、自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずること。

(2) 事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷を低減するよう努めること。

(3) 事業活動を行うに当たっては、再生資源その他の環境への負荷の低減に有効な原材料、役務等を利用するよう努めること。

(4) 製品その他のものが廃棄物となった場合に、その適正な処理に努めること。

(5) 事業活動に関し、環境への負荷の低減その他の環境の保全に自ら努めるとともに市が実施する環境施策に協力すること。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、廃棄物の減量、資源及びエネルギーの適正な利用等日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めるとともに市が実施する環境施策に協力するものとする。

(民間団体の責務)

第7条 民間団体は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、自発的な活動を積極的に行うとともに市が実施する環境施策に協力するものとする。

第2章 環境の保全に関する基本指針等

(基本指針)

第8条 市は環境施策の策定及び実施に当たって、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、総合的かつ計画的に行うものとする。

(1) 大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が、将来にわたって良好な状態に保持されること。

(2) 生物の多様性の確保が図られること。

(3) 森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が、地域条件に応じて体系的に保全されること。

(4) 資源の循環的な利用、廃棄物の減量、エネルギーの効率的利用、地域の自然エネルギーの活用等を推進することにより、環境への負荷の低減が図られること。

(5) 丹生川水系その他の水系ごとの流域における環境について、総合的にその保全が図られること。

(6) 人と自然との豊かな触れ合いが確保されること。

(環境基本計画)

第9条 市長は、環境施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定するものとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境保全に関する長期的な目標

(2) 環境保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は環境基本計画を策定するに当たっては、尾花沢市環境審議会の意見を聴くものとする。

4 市長は、環境基本計画を策定したときは、すみやかにこれを公表するものとする。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

第3章 環境の保全に関する施策等

(環境基本計画との整合)

第10条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るものとする。

(環境の保全上の支障を防止するための措置)

第11条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる行為について必要な規制の措置を講じるものとする。

(1) 公害の原因となる行為

(2) 自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為

(3) 人の健康又は生活環境に支障を及ぼすおそれがある行為

(環境の保全に関する施設の整備等)

第12条 市は、公共的施設その他の環境の保全を図るための施設を整備するとともに事業者及び民間団体によるこれらの施設の整備が推進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、前項に定める施設の適切な利用を促進するための措置その他これらの施設に係る環境の保全上の効果が増進されるために必要な措置を講ずるものとする。

(資源の循環的利用等の促進)

第13条 市は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び市民による資源の循環的利用、エネルギーの有効利用並びに廃棄物の減量が推進されるように必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的利用、エネルギーの有効利用並びに廃棄物の減量に積極的に努めるものとする。

(環境美化の推進)

第14条 市は、地域の良好な環境を保全するため、ごみの投棄及び散乱の防止について必要な措置を講ずるものとする。

(環境保全型農業の促進)

第15条 市は、環境への負荷を低減するため、有機物資源を活用した土づくり、化学肥料及び農薬の使用低減、使用済み農業用資材の適正処理等の営農活動を促進するために必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全に関する教育及び学習の推進)

第16条 市は、市民及び事業者が環境の保全に関する理解と関心を深められるように、環境の保全に関する教育及び学習の推進その他必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第17条 市は、環境の状況その他の環境の保全に関する情報の収集に努めるとともに、その情報を適切に提供するものとする。

(調査、研究等の実施)

第18条 市は、環境の保全に関する調査及び研究を行ない、それらの成果の普及に努めるものとする。

(監視等の体制整備)

第19条 市は、環境の保全に関する施策を適正に実施するために必要な監視、巡視等の体制を整備するものとする。

(市民等の環境保全活動の促進)

第20条 市は、市民、事業者及び民間団体(以下「市民等」という。)が、自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(市民等の意見の施策への反映)

第21条 市は、市民等の意見を環境の保全に関する施策に適正に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

(地球環境保全の推進)

第22条 市は、市民等がそれぞれの役割に応じ、かつ、連携して地球環境保全に資するために必要な措置を講ずるものとする。

第4章 環境審議会

(設置)

第23条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、尾花沢市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事項等)

第24条 審議会の所掌事項は、次の通りとする。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を推進するうえで必要な事項

第5章 補則

(委任)

第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

1 この条例は、平成14年6月5日から施行する。

2 平成10年3月に策定した尾花沢市環境基本計画は、第9条第1項の規定に基づき策定されたものとみなす。

尾花沢市清らかな環境を保全する条例

平成14年3月22日 条例第17号

(平成14年6月5日施行)