○尾花沢市職員のVDT作業ガイドライン
平成10年9月25日
訓令第25号
1 VDT作業ガイドライン制定目的
近年、行政のOA化が推進され、VDT、(Visual or Video Display Terminals)が、急速に職場の中に導入されている。
このVDT作業の特性としては、
(1) 垂直面のVDT、水平面又は垂直面の入力原稿等を見る諸動作が混在しているため、激しい視線の移動が行われ目への負担が大きいこと。
(2) 座位の姿勢でキーボードで打鍵するという反復作業を行う関係上、身体の特定の部位に負担がかかること。
(3) 単調な作業であるが、迅速性・正確性が要求されるため、精神面への負担が大きいこと等が指摘されており、これらに対する労働衛生管理が必要とされていることから、本市においては、労働省通達「VDT作業のための労働衛生上の指針について」(昭和60年12月20日基発第705号)基底にして、次のとおりVDT作業ガイドラインを定める。
なお、VDT器機や情報処理の技術は日進月歩であること、また、VDT作業が健康に及ぼす影響については個人差が大きいことに鑑み、本ガイドラインは暫定的な措置として定め、今後とも国から通知等を参考にして検討を加えていくものとする。
2 本ガイドラインの適用
本ガイドラインは、尾花沢市職員安全衛生管理規程の適用を受ける職員が従事するVDT作業に適用する。
3 語句の説明
ここで使われている特殊な語句を説明すると次のとおりである。
(1) VDT作業とは
VDTとは、一般的にコンピューターの入出力装置として使用されている表示装置(以下「ディスプレイ」という。)のことをいい、VDT作業とは、このVDTを用いている文書作成あるいは、データの入力・検索・加工等を行う作業をいう。具体的には、次の作業が一般的である。
種類 | VDT等との関わり | 代表的作業者 |
コンピュータ操作作業 | テープや用紙のかけ換え等他の作業との併用があり、キーボード、VDT画面もよく見る。 | オペレーター |
端末操作作業 | キーボードを見ながら打鍵することが多く、入力原稿、VDT画面もよく見る。 | 一般職員 |
ワープロ操作作業 | キーボード、VDT画面のいずれもよく見る。 入力原稿を見ることがある。 | 一般職員 |
パソコン操作作業 | 入力原稿、キーボード、VDT画面のいずれもよく見る。 | 一般職員 |
(2) グレア
光源から直接又は間接に受けるギラギラしたまぶしさのことをいう。
(3) 陰画表示
写真のネガや黒板に書いた文字のように、暗い背景に明るい文字などが表示されるものをいう。
(4) 作業休止時間及び小休止
ア 作業休止時間は、眼又は手腕系への負担による疲労を防止するため、連続作業後いったんVDT作業をいったん中止し、リラックスして遠くの景色を眺めたり、あるいは、作業中ほとんど使用しなかった身体の各部を適度に動かす等の運動を行うための時間をいう。
イ 小休止は、連続作業の途中でとる1~2分程度の作業休止をいう。
4 作業環境管理
(1) 照明及び採光
ア 室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
イ 陰画表示のディスプレイ画面における照度は500ルクス以下、書類及びキーボード面における照度は300ルクスからおおむね1000ルクスまでとすること。また、ディスプレイ画面の明るさ、書類やキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
なお、必要に応じて補助照明を使用すること。
ウ 直接太陽が入射するなどの高輝度の窓については、ブラインド又はカーテン等を設け、必要に応じてその輝度を低下させることができるようにすること。
(2) グレアの防止
ディスプレイは、VDT作業従事者の視野内に高輝度の照明器具・窓・壁画や点滅する光源等がなく、かつ、ディスプレイ画面にこれらが映りこまないような場所に設置すること。
映り込みがある場合には、必要に応じ、次の措置を講じること。
ア ディスプレイ画面の前後傾斜の調整を行うこと。
イ 低輝度型照明器具を使用すること。
ウ ディスプレイに必要に応じてフード又はフィルタを取り付けること又は反射防止型ディスプレイを用いること。
エ その他グレアを防止するための有効な措置を講じること。
5 作業管理
(1) 作業時間等
ア 一日の作業時間
一日のVDT作業時間は、なるべく短くなるように配慮すること。この方法として、一日の勤務がVDT作業とそれ以外の作業とを適切に組み合わせたものであることが望ましい。
イ 一連続作業時間及び作業小休止時間
一連続作業時間は45分を超えないようにし、次の連続作業までの間に15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1~2回程度の小休止をもうけること。
ウ VDT作業記録票
職員安全衛生管理者が指定した所属長は、その指示に従い、VDT作業従事者について「VDT作業記録票」(様式1号)を作成し、提出すること。
(2) VDT器機等
ア ディスプレイ
フリッカー(ちらつき)がないものであること。
文字又は図形の輝度及びそれらと背景との輝度対比(コントラスト)は、VDT作業従事者が容易に調整できるものであること。
文字又は図形は、次の事項が考慮され、読み取りやすく視覚負担が少ないものであること。
① 大きさ及び形状
② 文字又は図形及び背景の色彩
③ 文字の間隔及び行の間隔
イ キーボード
① キーボードの位置はVDT作業従事者によって調整できるものが望ましい。
② キーはそれを押したことをVDT作業従事者が知覚しうることが望ましい。
③ キートップ等の文字や記号は、できるだけ分かりやすいものであること。
④ キーボード及びキートップの表面は、つや消しされたものが望ましい。
ウ 椅子
椅子は、安定しており、かつ、移動ができ、適当な背もたれがあること。
椅子の高さは、少なくとも35センチ~45センチの範囲でレバー操作等により簡単に調整できるものであり、高さの調整中に座面が落下しないものであること。
必要に応じて肘掛けを有しているものであること。
エ 机又は台
作業面は、キーボード、書類、書見台その他VDT作業に必要なものが適当に配置できる広さであること。
作業机の下の空間は、VDT作業中に脚が窮屈でない広さであること。
机又は台の高さについては、次に示す数値を目安にすること。
① 高さの調整ができない机又は台を使用する場合、床からの高さは65センチ以上70センチ以下のもの。
② 高さの調整が可能な机又は台を使用する場合、床からの高さは少なくとも60センチ~75センチの範囲で調整できること。
オ 足台
足の疲れを防止するため、必要に応じてすべりにくい足台を備えること。
カ 書見台
書見台を用いる場合は、その位置、高さ、傾き、方向を変えて固定でき、安定したものを設けること。
(3) 調整
無理な姿勢による作業を続けないようにするため、次の事項に留意のうえ、椅子の高さ、キーボード・ディスプレイの位置等を総合的に調整すること。
ア 作業中の姿勢は椅子に深く腰をかけ、背もたれに背を十分にあて、履物の足裏全体が床に接するようにすること。
イ 椅子と大腿部のひざの側背面との間には手指が押し入る程度のゆとりをもたせ、大腿部に無理な圧力が加わらないようにすること。
ウ キーボードに向かうときは、上腕と前腕の角度が90度以上になるようにし、キーボードに自然に手指がとどくようにすること。
エ ディスプレイの画面の上端をVDT作業従事者の眼の位置より下になるような高さにすること。
また、画面との視距離におおむね40センチ以上が確保できるようにすること。
オ 眼疲労を軽く軽減するため、ディスプレイ画面とキーボード又は書類との視距離の差が極端に大きくなく、かつ、適切な視野範囲になるようにすること。
6 VDT器機等及び作業環境の維持管理
VDT作業環境を常に良好な状態に維持するため、次により点検、調整及び清掃を行い、必要に応じ、改善措置を講じること。
(1) 日常の点検と調整
VDT作業従事者は、作業開始前に、採光、グレアの防止等について点検を行うほかディスプレイ、キーボード、椅子、机又は台等の調整を行うこと。
(2) 清掃
VDT作業従事者は、日常的に、作業場所、VDT器機等の清掃を行い、常に清潔に保持すること。
7 健康管理
(1) VDT作業従事者に対しては「尾花沢市職員健康診断実施要領」の定めるところにより、VDT作業従事職員健康診断を実施する。
(2) 妊娠中の職員については、一時的な作業を除き、原則としてVDT作業に従事させないよう配慮すること。
8 労働衛生教育
(1) 職員安全衛生管理責任者又は所属長は、必要に応じて、VDT作業従事者及びVDT作業従事者を直接管理監督する者に対して、適切な労働衛生教育を行うものとする。
(2) 所属長は、必要に応じて、VDT作業に新たに従事する職員に対し、VDT作業の習得に関する研修を行うものとする。
9 ガイドラインの点検
所属長は、「VDT作業ガイドライン点検簿」(様式2号)により、毎月1回本ガイドラインの遵守状況を点検するとともに、不適当な項目がある場合は必要な措置を講ずるものとする。
10 ガイドラインの周知
所属長は、VDT作業従事者に対して、本ガイドラインを十分に周知しなければならない。
附則
この訓令は、平成10年10月1日から施行する。